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目を閉じている彼に寄り添うように、私は、横になった…。
『どうして、こんなことになったのかしらね…?
私たち、二人でいたかっただけなのにね…?』
初めて出会ったとき、いけ好かない奴だと思ったの。
最初、顔はよく見えなかったけど、スタイルが良くて女の扱いも心得ているようで…。
プレイボーイなのは一目でわかった。
だから、からかってやるつもりで、ダンスの誘いに乗ったの。
フロアへ導くために、さしだされた貴方の手を取り、貴方に手を握りかえされた瞬間、頭の中で、《こうしてやろう、ああしてやろうと》考えていたことが、すべて吹き飛んだ。
暖かかった…。
今までの中で誰よりも…。
堅実な男性と結婚して、堅実な家庭を持つものだと決めていたの…。
だから、女性を大事にしないプレイボーイの男性なんて、傷つけてしまおうと…。
そう、思っていたのに。
音楽に合わせて踊っているつもりが、音楽なんて途中で聞こえなくなっていた。
気づいたら、人気のないところへ導かれて、キスを交わしていた。
お酒を飲んだわけでもないのに、何かに酔っていて…。
夢中だった。
与えられるものはすべて受け取って、奪われるものは、すべて奪いつくされるような…
そんなキスを残して貴方は去っていった…。
乏しい灯りと静かな暗闇の中、横になった彼女は、横にいる彼の手を握ると言葉を発した。
『本当はね、ひどく動揺して、後悔したの…。なんてことしてしまったのだろうと。』
だって、プレイボーイの貴方に、いいように、遊ばれたのではないかと思えて…。
貴方の名前も知らなかったしね…。
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