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最後の姫 -煌牙-
疲れて眠そうな新しい主を俺は背負って帰った
俺が封印されてからもう300年だという
桜妃は人型になるのもつらいらしく本来の姿になっている
…申し訳ない 許してくれるとは思えないが後で平に謝ろう
帰るまでの間にこの300年で何が起きたか沙羅が話してくれた
一族がこの少女を残して壊滅したことも
犯人が睦皇だということも
神殺しのことも
この少女は今までどれだけつらかったろう
「泣いてるのか?」
月の使者が俺を見上げた
沙羅はクスクスわらっている
「相変わらず情にあつい」
「わらうな」
俺はぐいっと顔をふいて少女をかかえなおした
「これからは私たちもこの小さい体に背負われるんだ」
沙羅は俺の背中で眠る主の髪をなでた
「ありあと」
「え?」
主はムニャムニャと呟きまた寝息をたてはじめる
寝言か
背中が暖かい
俺を拾ったあの人に似た匂い
安心する
今度こそ守りきる 重荷があるなら一緒に背負う
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