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逃避 -朱雀- 「はやく逃げろ!」 夫は気流をうまくつかい天敵に急降下していった 私は両腕に生んだばかりの我が子をだき 飛べる子供達を追い立て 巣から離れた 飛んで飛んで…でもいくらも行かないうちに背後に影がせまる 夫はどうしただろう 悪い考えしか浮かばないが 考えている場合ではない 私が子供をまもらなければ 影が近づいたかと思えば背中に痛みが走った それでも私は飛び続ける 切り裂かれた尾羽なぞくれてやる 我が子を強くだきなおしたときひゅるひゅると風が 守るように私達を包んだ 風の中に見知った顔が見えた
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