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断れるわけがなかった 「わかり…ました…」 「あぁ…本当にありがとう」 彼女は涙をこぼした あたしの手を握り何度も何度も礼を言った 「颯隼様私を外へ…」 「なぜ…」 険しい顔の彼に彼女は首を振った 「もう持ちません…この屋敷を焼くわけにもいきませんし」 風の神様もとい颯隼は悔しそうに彼女を抱えて外へ出た 「少しお待ちを」 と桜妃が消えた 「お待たせしました」 いや…一瞬っしたよ? 桜妃はわらの束を抱えてきた どこにあったんだ… それを庭に敷き詰め何度も礼を言う朱雀を寝かせる 「最後の火であの子を孵します」 颯隼が彼女に卵を抱かせると 愛おしそうに卵をなでる… 大きく息を吐くと彼女はゆっくり目を閉じた 「どうかよろしくお願いします」 轟音と共に彼女は燃え上がり 驚いて手で顔をかばっている間に燃え尽きた あとに残ったのは今にも孵ろうとする卵だけ
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