思えば人増えたもんだ

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朱雀の雛は生まれて数時間でなぜか人の形になった そしてよく泣く… 朔は離れたところに座布団をもっていきそこに転がっている 最低に不機嫌そうだ… 赤ん坊を抱いた経験がないからだっこもうまくできない 「う…うぇぇ」 やっとおさまってきた… 泣きたいのはこっちだぁ と思いながらゆらゆら体を揺すってやる 「かえったぞ」 実は東の守り「青龍」の役目もになう龍神に朱雀について聞きに行った沙羅が帰ってきた 「うぎぁぁぁん」 とたんに火がついたように泣き出した 沙羅がしまったって顔をした あ… 五行には 〈水は火を克する〉という性質がある朱雀は火の性だ… 「ああ…なかないでぇ」 部屋には入らないまま沙羅が手招きした あたしは桜妃に雛を預ける 「はいらないの?」 「いや…いい」
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