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・・・彩音…
遠くで呼ぶ声がする
「彩音」
あ…
姉の声だと認識するとだれかに抱き上げられた
「彩音」
父さん
父の肩の上
姉と母と兄がふたり
祖父も
ちらほらお手伝いさんも見える
今は亡き家族の姿があった
何もない、平和な、ある春の日
「父さんは仕事があるからな」
言ってあたしの頭を撫でると母を連れて行く父
「待って」
行かないでっ引き止めようとするけど
長兄に抱き留められる
「にいにと遊んでような」
家の外
「彩音っ」
姉の声
あたしは姉の背にかばわれている、…
きらめく閃光に兄が討たれる
「彩音っ」
血まみれの惨劇
最後の力で微笑む姉
「姉さん」
泣き叫ぶ彩音を抱き上げる
キレイな女の人
「彩音様」
目を開けると見慣れた天井が見える
夢…
「泣いているのか」
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