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あれ -桜妃-
あれは何代か前の当主が式にくだし息子に譲ったアヤカシだった
息子はまだ若かったが人望はあつく若くして当主となった
あれは良く仕え前当主も一族も当主を支えていた
だがある日当主を狙うものの手により
術をかけられたアヤカシは
主に牙をむいた
庇った当主の母親が亡くなった
あれはそれを悔やみ
自ら封印されることを望んだ
当主はしぶったがあれは土のなかで悔い改めることを望んだのだ
当主は内平の祖が私を作った
私の半身ともいうべき木から
挿し木で苗をつくり
封印の印として植えた
そしてまたあれは主に牙をむいた
主を傷つけてはならない
あれをまた罪悪感で苦しめてはならない
「彩音様!」
私は必死で手を伸ばした
でもそれより彩音様があれの名を呼ぶのが早かった
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