千春くんと千春

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夢の中で見た光景がそこに広がっていた。 広い駐車場にはぽつりと止めてあるグレーのワゴン車。 白いガードレール。その向こうには、大きな街並みが広がっていた。 ほんの少しだけど、海も見える。 自転車を押して、夢の中で見たガードレール前まで歩く。 冷たい風が柔かな髪の毛をなびかせた。 そして気付いた。 夢の中で、あたしの肩にかけてくれた千春のブレザーが、固いアスファルトの上に落ちていたことを――‥ 自転車を止めて、直ぐにそのブレザーを手に取った。 「うそっ?!なんで‥?なんで千春のブレザーが…‥」 ‘ずっと‥一緒にいられるよね‥‥?’ あの時だ――‥。 千春に問掛けた時に、ブレザーが肩から落ちたんだ。 夢の中の出来事なのに‥… どうして、つじつまが合ってしまうのか‥不思議でたまらない。
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