千春くんと千春

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目を輝かせて「凄い綺麗‥」と呟く。あの坂道の上で見る夕焼け色よりも、初めて見る街全体の夜景に感動した。 こんな田舎町がこんなに輝いて見えるなんて――‥… 「茅紗が公園に行きたがってただろ?でも公園は危ないからさ‥ こんな地図にも載ってないような丘まで探しちゃったんだぜ!俺ってやっぱり天才。 親友のために何日間安全な場所探し出したと思ってんだ。 この我儘娘っ!」 ズベシッ!と、久々に喰う千春のデコピンに額を押さえ、「いったぁ~い!」と叫んだ。 白い歯を見せて笑う千春。あたしはムッとした顔で千春の頬を引っ張った。 「わざわざアリガト―ございましたぁっ~!」 わざと大きな声でそう言ってやると、彼はくしゃくしゃっ!と、あたしの頭を撫でてきた。 「どういたしまして」 月明かりに照らされた笑顔が眩しく思えた。
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