2228人が本棚に入れています
本棚に追加
ガードレールに手を置いて、小さな町を見つめた。
緩やかな冷たい風も何もかも忘れて――‥…
ただ一点だけを見据えていた。
彼の指先があたしの指先に絡む。隣にいる彼に視線を向けると、悲しい顔をした彼がいた。
切ない瞳の向こうは‥何が映っているの?
無言のまま唇を重ねた。
すぐに離れる唇をまた重ねて、静かな時を過ごした。
温かくて、幸せな気分のはずなのに‥切ないのはなぜ?
閉じていた瞳をゆっくり開き、
彼の顔を見上げる。
―――‘涙’―――‥?
千春の瞳に浮かぶ雫に目を奪われた。
何故泣いているのか分からない。
「…千春‥?」
最初のコメントを投稿しよう!