千春くんと千春

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ガードレールに手を置いて、小さな町を見つめた。 緩やかな冷たい風も何もかも忘れて――‥… ただ一点だけを見据えていた。 彼の指先があたしの指先に絡む。隣にいる彼に視線を向けると、悲しい顔をした彼がいた。 切ない瞳の向こうは‥何が映っているの? 無言のまま唇を重ねた。 すぐに離れる唇をまた重ねて、静かな時を過ごした。 温かくて、幸せな気分のはずなのに‥切ないのはなぜ? 閉じていた瞳をゆっくり開き、 彼の顔を見上げる。 ―――‘涙’―――‥? 千春の瞳に浮かぶ雫に目を奪われた。 何故泣いているのか分からない。 「…千春‥?」  
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