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突然千春があたしを強く抱き締めた。
「千春!?どうしたの??」
慌てて彼の背中に手を添えると、小さく震えている。
すごくびっくりしたし、なんで泣いているのかも分からない。
千春が泣くなんて―――‥…
強く強く抱く彼の腕に身を任せた。彼はただただ‥涙を流して悔しそうに抱きしめていてくれるだけ。
「――‥茅紗」
やっと開いた彼の口。あたしは黙って聞いていた。
「‥絶対に‥忘れるなよっ―‥」
え―――――…‥?
綺麗な涙が一筋溢れると、彼は今まで以上に凄く優しい笑みを浮かべ、あたしの手を強く握り締めた。
「茅紗が好きだ‥
弱虫な茅紗が大好きだ‥っ。
これから先も‥ずっと――‥」
愛しそうに見つめるあたしの瞳。千春はポケットから生徒手帳を取り出し、あたしの手に握らせた。
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