千春くんと千春

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コンコンッ。 ドアをノックする音が部屋の中に響いた。 閉じていた瞼をゆっくりと開ける。 「あれ――‥あたし、いつの間にか寝てた?」 ベッドの上でそう呟いた。 そうだ、今日は千春と一緒に学校行くんだった!! 慌ててベッドから飛び起き、パジャマを脱いで制服に着替える。 「ちょっと待ってて!直ぐに着替えるから!」 スカートの丈を折りながらドアに向かって言った。 久しぶりの学校。 久しぶりの制服。 久しぶりの登校。 また‥千春と学校生活が送れるのだ。 髪の毛をとかしながらドアを勢いよく開け、「オッハヨー!千春!」と満面の笑みを浮かべて言った。 しかし、そこにいたのは千春ではなく、千春の妹、ひいなちゃんがいた。 雛璃ちゃんと同じ髪型のツインテール。 「おはようございます、茅紗お姉ちゃん」 「あ‥れ?間違っちゃった。 おはよ、ひいなちゃん。 どうかしたの?」 にんまりと笑いながらショートヘアの髪型を整える。
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