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「そんな――‥‥」
何を言っても信じては貰えなかった。
「それじゃ私、学校に行って来ますね!茅紗お姉ちゃんも無理しないように。
お兄ちゃんは必ず帰って来ますから」
励ます言葉を添えて、軽くお辞儀をしてから彼女は部屋から去って行った。
あたし――‥我儘過ぎるんだ‥
力が抜け、床に座り込んだ。
あれは本当に夢だったのだろうか?
そう感じる程に現実的で‥逢えて嬉しくて‥唇の柔らかさも、ぬくもりも、指先も‥
すべてが愛しくて――‥
もう何も考えることが出来ない。
ぽたぽたと雫が手の甲に落ちる。手に持っていた生徒手帳を強く見据えた。
「チハルッ――‥逢いたいよっ‥」
夢の中でもいい。
アナタが傍にいてくれるのなら‥この身を捧げてもいい。
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