千春くんと千春

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ピンクのマフラーを巻いて、あたしは携帯と千春の生徒手帳を持って家を出た。 それから千春の自転車を借りて、急いでその場所に向かう。 空は爽快な青空。雲一片もない。 町の中を走り、駐車場へと急いだ。 30分も漕ぎ続けた道を覚えている自分が恐ろしく思う。 「つ‥疲れた。少しだけ休も‥」 丘まであと少しという所で、小さな公園に来た。 この時間帯なら変質者も出ないだろう。 ベンチに座り、砂場で遊ぶ子供等をみていた。 おじいさんやおばあさんがあたしの隣に座って来た。 どうやら夫婦らしい。 「あの、すみません。 人を探しているんですが、この辺でこの男の子を見かけませんでしたか?」 生徒手帳に載っている顔写真を見せ、おばあさんに尋ねた。
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