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ガードレールに背を向けて、雑草や林が生えている方に目を向けた。
あたしの身長よりもあるススキに驚いたが、目を背けた。
他に何か手がかりはないのだろうか?
千春のブレザーを持って広い駐車場を見渡す。
車は1台しか止まっておらず、目を通しやすい。
聞こえてくるのは葉と葉が擦れ合う音。
サワサワ‥と、寒さを感じさせる。
ふと、顔の横を黒い物体が通り過ぎた。すぐに目で追う。
可憐に美しく、時を止めたかのような青いアゲハ。
まるで夢に出てきたような綺麗なアゲハが舞っていた。
こんな寒い季節になぜ蝶が…‥
‘もし‥
そのアゲハが俺だとしたら――‥茅紗は何を願ってくれる‥‥?’
「――‥千春‥?」
信じたくない。
だけどね‥チハルッ‥‥‥
こんな季節に蝶がいるなんて‥
おかしいんだよっ――‥?
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