千春くんと私

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中2の春。 「春日 茅紗さん、 ここの本文を読んで下さい」 新学期から新しく始まった教室で、まだ馴染めないクラスの中で授業を受けていた。 「‘今は昔、竹取の翁といふものありけり’」 なんであたしが‥‥。なんて愚痴を心の中で呟いた。 知っている友達が2人。あとは皆知らない奴ばかり。 だからクラス替えなんて嫌いなんだ。新学期早々良い感じの不機嫌さ。 友達がなかなか出来ないのも理由だが、もう一つ原因がある。 教科書を手に持って竹取物語を段落ごとに読んでいく。 「次は青羽 千春くん、次の段落から」 あたしが読み終わると、先生は席を見回して名前を適当に言った。 そいつが一番の原因である。
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