102人が本棚に入れています
本棚に追加
『もう、離れようか』
昨日の夜、やっと言えた言葉。
言う準備はずっと前からできていたのに、どれだけ抑えてもこの感情は水となってオレの体から溢れ出た。
ゴンは、そうだね、って言葉以外なにも言わなかった。
やっぱりお前は優しいよ。
「じゃあな」
「うん、またね」
「ばーか、“また”はねえの」
「あ、そっか」
ゴンが笑ってくれたから、つられて笑うことができた。
そのまま、元気でねって言って前を向いて進んだゴンの背を見て、もう泣いてもいいかな、なんて思いながら、車椅子のハンドルに手をかけた。
不意に僅かな風の音がして、ゴンのにおいにつつまれた。
ほんの一瞬、頬にゴンを感じた。
「ありがとう」
ばか、なんで。
それは、オレの言葉だよ。
ありがとう
(ゴンに逢えて、幸せだった)
fin.
──────
思い付いてから、机に向かって2作一気に書き上げました。
キルアさん、またゴン様でも庇ったんでしょうね。
ほんと、なんでうちのキルはいつも傷だらけなのか。
ですが、これこそキルアの本来の姿に思うのです←これが原因、
読んでくださった方、ありがとうございました。
(081019)
最初のコメントを投稿しよう!