愛していました。

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ごめんね、って言ったら、「どうして」って笑った。 それは、ごめんねに対しての「どうして」なのか、離れることに対しての「どうして」なのか、聞けなかったのはきっと、聞いてしまえば行けなくなるってことがわかってたから。 本当は離れたいなんて、微塵も思ってはいないんだけど、使えないハンターは切り捨てられちゃうんだ。 それは百も承知で、きっとキルアも。 「ごめんね」 「ばか、壊れた銃は使えないんだよ」 「うん」 「振り向くなよ」 「…一人で大丈夫なの」 「当たり前だろ。手は使えんだから」 そう言って笑いながら、車椅子を器用に動かして見せた。 秋の心地いい風が吹いて、紅く色付いた草木が揺れた。 なんだかすごく寂しくなって、涙が出そうになった。 「帰ってくんなよ」 「わかってるよ」 「オレのことは忘れろよ」 「…うん」 昨日の夜、話し合ってもう会わないって決めた。 まだちゃんと納得はいかなかったけど、そう言ったのはキルアだから。 泣きたいのを堪えて、一生懸命言ってくれたことだから。 喉の奥から絞り出すように言葉を紡ぐ声が、震えていたけど気付かないフリをした。
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