愛していました。another.

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「ごめんね」なんて言って笑うから、どうして、って言葉しか出てこなかった。 何に対しての、「どうして」だったのか、わかっていたけど、言ってしまえばゴンが行けなくなるって思ったから、いろんな想いと一緒に全部飲み込んだ。 なのにお前は「ごめんね」って言う。 しょうがねえだろ、オレは ガ ラ ク タ なんだよ。 「一人で大丈夫なの」 「当たり前だろ。手は使えんだから」 情けないよ。 車椅子だって。 ベッドじゃ、一人で起き上がることすら出来ないんだから。 元暗殺者のハンターが聞いて呆れる。 さんざんやってきたことのツケがまわってきたのかなあ。 ばかか、オレは。 こんなもんで償えると思ってんのかよ。 草木を揺らす秋の風が、笑っているような気さえする。 こんなことを考える自分がおかしくて、涙が出そうになった。 「オレのことは忘れろよ」 精一杯の言葉だった。 どうか重荷になりませんように。
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