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すきの方程式(解は君。)
「…ア、キルア!」
「…え?」
耳元で大声がして、やっと呼ばれていることに気が付いた。
なんとなくぼーっと見上げていた空には、ふわふわと気持ち良さそうに白い雲が泳いで、太陽が燦然と輝いていた。
「キルア、今の話聞いてた?」
「え、あ、ごめん。何?」
まだ軽くもやがかかっている頭の中を整理して聞き返したけど、ゴンは大きく溜め息をついて、もういいってそっぽを向いてしまった。
少しの沈黙が続いたあと、以外にもゴンの方から話しかけてくれた。
「キルアってさ。」
「…ん?」
「すきだよね、空。」
…すき?オレが?
言われてから、またそれを見上げて考えて、自覚した。
ああ、オレって空、すきなんだ。
「そう、なのかな。」
なんだかびっくりして、腑に落ちない返事をした。
だって、今までさ、なかったんだよ、すきなものとか。
甘いものがすき、とかのすきじゃなくて、もっとなんか、愛、のこもった。
心があったかくなるような。
そんな感じ。
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