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離れたい、なんて思ったことはなくて
すきで、すきで、しかたなくて
それでもオレは、あいつの傍にいちゃいけないってことぐらいわかっていたから。
わかっていた。
わかっていたけど。
大丈夫かな
オレ、まっすぐ歩けてるかな
ちゃんと離れられてるかな
あいつを思い出にしてしまえるかな
雨なのか涙なのかわかんなくなった水が頬を伝うけど、なんだかもうどうでもよかった。
ただ、この胸の痛みだけは本物で、だけどそれでも、と、水浸しの顔を服の袖で拭った。
きっと探してるだろうから見つからないように傘で溢れる道を通った。
遠くで名前を呼ばれた気がしたけど、きこえないフリをした。
そんなに呼ばないで
(逝けなくなる)
(080921)
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