6.降りしきる夜雨

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「眠れない?」 「…ごめん」 「いいよ、ずっと起きてた」 「なんで」 「キルアが泣くから」 「泣いてねえよ」 「泣いてるよ」 キルアが見ていた窓の外で、幾つもの小さな水のカタマリが音をたてて堕ちていくのをみた。 ゆっくり近付いて抱き締めたら、一瞬強張ったけど、すぐに身体を預けてくれた。 服の肩の部分に小さなしみができて、ちょっとだけ冷たかった。 (涙を拭ってやれるこの手さえあれば、それでいいと思った。) (080921)
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