日常

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家から歩くこと十分 最寄り駅へと着いた この時間帯は通学者が多く混み合っている スカートが短く、化粧の濃いギャル集団 朝から未成年のくせに煙草なんてふかしている不良 それらを見て見ぬふりする大人たち 毎度のことだから今更あからさまな嫌悪感なんて持ちわしないが、それでも気分は優れない 修二はホームの椅子に座り、電車を待った 現在7時20分 電車が来るまであと5分 長いようで短い時間 修二は溜め息をついてから、鞄から文庫本を取り出した 本の題名は「人」 たったそれだけを題材にした本 本には人の態勢やら姑息さやらなどの俗に言うマイナスイメージがたんたんと書かれている しかし、意外とこの本は人間というものを的確に捉えている たとえば、人は敵を見つけることにより集団を成すことができる 確かに、人とは敵という的確な対立するものを見つけると輪をつくる いじめなんかもそうだ 被害者と加害者いう明確な対立関係があることにより加害者たちの絆を確かめ合う、つまり、いじめという秘密を集団で分かち合うことにより絆をふかめ、確かめ合う だからいじめはクラス単位または学年単位で行われるケースがある ナイーブな思考を働かせていると、ふいに頭を誰かに叩かれた 振り返ると、友人である蓮見 夕貴と幼なじみの相沢 涼が笑いながら立っていた
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