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――と、思ったのも束の間。
《よう、お前が例のパイロットか?》
通信してきたのは、先程隊長と話してたバーンハード・オルニーという男だった。
「え、まあ、はい」
オルニー隊長の印象は声が怖い。
必然的に控えめの敬語になってしまう。
《【大和】っていう機体に乗ってるって聞いたが……、それ【クロノス】じゃねぇのか》
「あー……、【大和】は今は故障中でして……」
【大和】が中破した経緯をオルニー隊長に話した。
《――なるほどな。
ま、災難だったじゃねぇか》
命懸けの戦いをしてその一言で済まされるとは……。
《そういや、お前"ガルウェン"のとこの隊だったよな?》
ガルウェン――オルニー隊長が言ってるのは鬼軍曹のことだろう。
「ええ、まあ……」
《あいつ、元気にしてるか?
ああ見えて俺と同期なんだよ》
「多分……、元気だと思いますよ?」
実のところ、あの戦いから鬼軍曹の安否が知らされてない。
あのやられ方で無事なのかどうかも分からない状況だった。
《あいつの戦闘能力は中々のもんだぞ?
まあ、指揮能力で言えば俺の方が勝っているけどな》
ハハハ、と陽気に笑うオルニー隊長。
少佐と同期ってことは、鬼軍曹くらいならいいとこの階級までいけるんだろうか。
《オルニー少佐、お喋りはそこまで》
通信の間に入ってきたのは我が部隊の隊長だった。
《おっと、大佐殿に言われたんじゃ静かにするしかないな》
そのままオルニー隊長は静かになった。
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