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ロシアンブルー
切れかけた外灯の真下にいたのは黒猫だった
夜の漆黒と同化してしまいそうな黒色の毛並み
アイオライトを連想させる暗い青の双眸
恐る恐る手を伸ばすと猫は掌に頬を擦り付けた
皮膚に伝わる毛の感触は最期に触れた彼女の黒髪を撫でた時と似ている
猫が震えるような声で鳴く
それが暗闇に響くのを感じながら頬が眼から流れ出していた涙で濡れている事に気付く
猫がまた鳴く
それに合わせるように目を閉じる
何もない瞼の裏の世界で彼女の微笑みが見えた気がした
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