3534人が本棚に入れています
本棚に追加
そのおじいさんが、ゆっくりと二階にある私の部屋に向かって飛んで来るのです。
そして、なんとも恐ろしい顔でビタッ!!と窓にへばりつきました。
あまりの恐ろしさに声も出ません。
「………中に…入れろ………。」
そう繰り返しながら、ズル…ズル…と窓の下へずり落ちて行きました。
(お願い!!どうかそのまま消えて!!)
そう心の中で必死で祈りました。
私の願いが通じたのか、おじいさんは完全に窓の下にずり落ち、見えなくなりました。
それから数分して、私は恐る恐る窓から下を見ました。
まだ居たのです。駐車してある車の上から何度も何度も私の部屋に入ろうと、必死に手を伸ばしジャンプしていました。
私はすぐに布団に潜り、ガタガタ震えていました。
何時間経ったでしょう。夜が明けて来た頃、私はまた窓の下を覗きました。
しかしおじいさんはすでに居ませんでした。
そして病院に目をやると、いつも以上の数でカラスが病院の屋根に集まっていたのを、今でも忘れられません。
最初のコメントを投稿しよう!