3534人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の帰り道、二人で帰っていると、ついにその友人が話を切り出しました。
雰囲気で、“そういった内容の話”であることは容易にわかりましたので、どんな内容か不安半分、好奇心半分で話始めるのを待っていると、友人は予想外の切り口で語り出しました。
「お前のお父さんのことやねんけど………。」
僕は一瞬何を言っているのか理解できませんでした。
実は僕の父親はこの時すでに他界していましたが、その友人には一切伝えていませんでした。
僕は友人の突然のセリフに混乱しました。
それでも友人は話を続けます。
「この前、お前の家に遊びに行った帰りに、なんか一人が“スーッ”て寄ってきて、『はじめまして。A(僕の名字)です。』って挨拶してきてん。」
もうこの時点でわけがわかりません。
友人いわく、僕の家の付近には今まで行くことがほとんどなかったので、そんな場所で友人に声をかけるAさんという人は、僕の父親ではないか、と思ったそうです。
というか、まず僕の父親が成仏できずにいることが少なからずショックでした。
思い残しているのならば、僕ら家族が原因だろうからです。
最初のコメントを投稿しよう!