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最近では冒険者の間での評判もそこそこ上がって来ていた…その矢先だ。
「『女だから客もその顔で取ってんだろ』ですってぇえ?ぶぁかにすんぢゃなぁいわよっ!ほんっと、いい加減にして欲ひいわ!アンタんとこのナマクラ刀と、ウチのブレードソードをいっしょにしなぁれよねぇっ!しっつれいしちゃう!うちの親父の技は、あたひがいっっっちばんよく知ってるしぃ、見てきたしぃ、打ってきたのよぉっ!そこいらのポッと出のくせに、ちょぉっと大会で佳作に引っかかったくらいでいい気になりやがってぇえ…わらひらって、大会、出られれば…っ!」
区切られた言葉に、ジェイは机を拭く布巾を止めた。
ギリ、と食いしばられた奥歯の軋む音が聞こえたからではない。
悔しげに歪められた幼馴染の顔が今にも泣きそうだったから………でもない。
ジェイは無言で布巾から手を離し、
「あぁんなヤツに大きな面なんかさせておかないんだからぁあああああああッ!」
耳を塞いだ。
「…フゥ。ホント、昔から声大きいんだからなぁキティは…」
隣で話を聞いている自分の身にもなってほしい。
後ろの席の酔っ払いがモロに彼女の声量に耳を痛めたのを横目に見ながら、ジェイは切実にそう思った。
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