狂い逝く想い

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   「は? それでどうしろ、てんだ?」  「ですから破壊。と言うか、君にそれ以外を望んだ事はない筈です」  「そりゃ知ってるけどよ」  「だったら口答えをしなさんな」  今、変に訛ったぞ…  長い事付き合っている、言わば腐れ縁という奴なんだが未だ出身地が解らない。ここは思い切って聞いてみるか。  「お前、どこの出身よ」  「セイは年齢不詳の出身地不明なんだお~?」  …彼岸、眠いなら無理に話に入るな。余計に拗れる。  只今夜中の十二時。つまりはこれからが活動時間なんだが、起きたてに見たくもねぇ面見せられて俺様ちょいと不機嫌気味。  あん? 誰の事か、て? そりゃ決まってんだろ。  ロリコン、ドS、ナルシストのド変態街道一直線。その道は我が為にある、とでも言いそうなくらいに自己中心な上司、精蘭の事よ。  何時ものように彼岸を腕に抱いてはいるが、流石にガキだけあって既に眠りかけてる。それでも話に入りたいのは、精蘭との時を持ちたいからなのか、単なる好奇心かは解りかねる。  しかし、半寝状態の彼岸を見ている精蘭の顔は、締まりがないの一言に尽きるな。  黙って立ってりゃ絶世の美女と間違われるだろう面の持ち主で、外を歩きゃ女に騒がれるが、その内はこんなガキにデレデレになってるんだから、これを鬼畜と言わずに何と言う、てな感じかね。  「君ね…」  「あ?」  気付くのが遅かった。こいつは人一倍勘が鋭い。特に悪い事系には。  俺は、毎度の様に地獄を見せられた…     「テメ! たまには手加減しやがれっ! イッて。彼岸、それは薬が違うだろー!」  毎度の如くズタボロにされ、彼岸が救急箱を持って来て薬を塗ろうとしてるんだが、頭は寝てるからなのか全く違うモノを塗り付けてくる。  それに対して文句を言った瞬間、精蘭の背後に黒いオーラが見えた…ような気がする。  「私の彼岸に手当てをして貰いながら、良くそんな口がきけますねぇ」  ヤベェ、やはり気のせいじゃないらしい。穏やかに話しているとはいえ、少々口の端が引き攣っている。  それに気付いた瞬間、部屋の気温が一気に五度は下がった気がするが…しかしだ!  「傷口にイ…イデェ!だから、それは違うっ!」  それから十分くらいは俺の叫びが続いた。  つか、赤チンとイソジンと、どうやったら間違うんだよ!? 彼岸! 後で覚えてやがれー!  
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