狂い逝く想い

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   「で、返事は」  「あんさ」  「何です」  「一つ良いか?」  「だから、何なんです」  彼岸に任せると余計に傷が増えそうだから、途中で寝かせて、自分で薬を塗りながら精蘭と話を続ける。  答えを早く出せと言いたげに、苛々した口調で返して来るが、お前は大事な事を忘れてるんだよ。  「依頼の内容ぐらい話しやがれっ!」  「私、話しませんでしたっけ?」  ったく、勘弁してくれよ。子猫みたいな、何が違うの、的な顔すんなよ。  多分、精蘭も俺と同じくらいだが、見様によっては二十前半か十代後半に見えるんだから詐欺だぜ、コレ。  外は女顔の笑顔が似合う男で、中身は鬼畜で変態。救い様がないだろ。  「……今は何もしますまい。彼岸が起きる」  呪詛の如く呟くが、聞こえない振りをする。  ちなみに、今は夜中の二時になろうとしている。こいつらが来てから飯を食ったり、シャワーを浴びたり、地獄に招待されたりと色々していたからだ。  もはやお眠な彼岸は俺が何時も寝ている長椅子で寝かせている。    こんな時間に連れて来るなと言いたいが、自分の部屋に一人置いて来る訳にはいかないんだろうな。何せ独身の一人暮らし……つか、彼岸と同棲してる訳だから。  「そんで。今回はどんなよ? 蛇女みたいなツマラン仕事はパスな」  因みに、その時の報酬は無しだった……マンションの部屋の中で三十人近い敵を全て血祭りに上げたから、部屋の修理諸々の請求書が億近い単位で来やがった。  それなりに遊んで暮せるが、そこ迄は貯めてはいないので、精蘭が全て肩代りして、施しで夕飯を食わして貰っただけだ。  チィ、思い出すだけでも腹が立つ。  「取り敢えず、これを」  机の上に置かれたファイルを手に取る。パソから落した資料だな。  
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