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「姉さま…今日は何かあるのですか?」
末っ子の幼い弟の祥吉に炯花は苦笑を漏らした
「新しい皇帝陛下が御即位されたでしょ?お父さんはその皇帝陛下の教育係だったから出世するのよ。そのお祝いをするの。」
「え!本当!?すごいや!」
「お父さんが帰ってきたら、おめでとうって言ってあげましょう?」
「うん!」
声を弾ませる末っ子の頭を撫でつつ炯花は窓の外の桜を見上げた
まさに春爛漫であった。
――――
――
「…孔真殿!」
「…おや、これは綜光殿」
「酷いではないか!礼部尚書になるなら何故一言教えてくれなんだか!」
武官服をきた熊男に孔真は苦笑する
「機密事項だからしかたないでしょう?
主上の言葉をお聞きになっていなかったのですか?」
「う…」
その言葉に綜光はたじろぐ。
この男、一見人の良さそうに見えるがかなりの毒舌家であった。
名を李孔真といい、炯花の父でもある。
百年にひとり居るかと言われている鬼才と呼ばれるこの男はこの毒舌のため、この16年間厄介者扱いだった14皇子の教育係に左遷されていたのだが、
14皇子の皇帝即位により見事に栄転することになった異例の人物である
一方熊男の方の名は劉綜光…孔真と同じく優秀な武官だが、上司と釣り合いがとれず羽林軍の隊長止まりだったのがなんと軍を動かす兵部尚書になった人物である
出世の理由は単純で、ずっと綜光を隊長止まりにしていた兵部尚書が内乱中に乗じて、禁軍の予算をちょろまかしたため、死罪になり…
兵士達や武官の圧倒的な支持で、熊男こと綜光が新しい兵部尚書に選出されたのであった。
そんな二大尚書が厠の中で仲良さげに話てるのだ
一般の官吏たちは厠に入るに入れない。
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