シンデレラ

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「あっ!もうすぐ12時!帰らなくちゃ…」 「そっか…もう12時なんだ」 僕の彼女はいつも何処でも12時になると帰ってしまう。 「それじゃあね!」 「うん…バイバイ…」 駅で僕は彼女の背中を見送る。 「ん?あぁまたか…」 彼女は帰る時に必ず落とし物をしていく… 「まぁ、次のデートの時で大丈夫だろう…ハンカチだし…」 そして僕は家路に着く。彼女と付き合って三ヶ月になるが…正直まだ慣れてない。何故彼女は12時になると帰るんだろう… 「ははっ…まるでシンデレラだな、落とし物もするし…」 家に着いてベッドに横たわる。てか、そろそろ聞いてもいいんじゃないか?なんで12時に帰るんだって…1回目のデートの時に聞いて、見事にはぐらかされてから聞いてない。まぁ…それも次のデートでいいか。とにかく今日はもう眠い…寝よう… そして、数週間後。 駅前で彼女を待つ。待ち合わせ時間の5分前。今日の僕は若干緊張している。何故なら… 「お~い!ごめんね~、待った?」 「いや、今来た所だよ、あっ、これ忘れ物!」 「あっ!私またやっちゃったかぁ~」 このシンデレラに理由を聞かなければいけないんだから…彼女との別れまで後8時間…何としてでも12時までに聞かなければ! 「どしたの?難しい顔して!」 「ん?あぁ…いや、何でもないよ…あっ、映画始まっちゃうよ!いこうか」 さて、どのタイミングで聞こうか…………………………………………………………………あっ!というまに別れ1時間前になってしまった! 「僕は何て馬鹿なんだ…」 「ん?何か言った?」 「いや!何でもない!」 今僕たちは公園のベンチにいる…聞くなら今しかない… 「あっ!あのさぁ!」 「今日楽しかったねぇ!映画とか興奮したよねぇ~!」 正直今日はいつ聞くか考えてて…何にも覚えてない… 彼女が時計を見る。 「後、30分で12時だね~。そろそろ帰ろうかな?」 今だ! 「そのことなんだけどさ!な、なんでいつも12時になると帰っちゃうんだい?」 「えっ?」 「いや、ほらさ!いつも12時になると急いで帰るじゃんか!なんでかな~と思ってさ…」 「……だよ…」 「えっ?ちょ、聞こえなかった…」 「何でもないよ!さっ、帰ろ?駅まで歩こうよ!」 「あっ、ああ…」 また、はぐらかされた…でも何て言ったんだろう?まぁ、また今度聞けるかな?今日は諦めよう。
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