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そして、駅までの道を彼女と二人で腕を組んであるく。あぁ幸せってこのことをいうんだろう。まぁ、このまま歩いて行けば余裕で12時に間に合うな…と、思ったら。前方が事故で通れなくなっていた…道は一本だったから駅まで行くとなれば、また公園に戻らなければならない。もちろん12時には間に合わない。彼女もそれを悟ったのだろうか、ガタガタと震えだした。
「どうしよう…12時に12時に間に合わない!」
彼女の様子が普通ではないことが見て解る。なんだ?そこまで大変なことなのか?
「…あいつが!あいつが来るよ!」
あいつ?誰だ?
「あいつってだ」
「早く!早く帰らないと!早く!早く早く早く早く早く早く早く早く早く!はやくぅっ!?」
彼女がいきなり走り出そうとするのを腕を捕まえて話し掛ける。
「落ちついて!何が来るの?教えて!」
「ダメ!ダメなのぉー!あなたに話したらダメなのー!」
もう尋常じゃない。彼女の顔は涙でぐしゃぐしゃだ。
「じゃあ教えなくていい!とりあえず駅に向かおう!僕が側にいるから大丈夫だ!」
そうだ、僕が側にいる!彼女の目を見て語りかけると彼女も泣くのをやめた。
「さぁ、早く駅に向かおう?」
彼女は無言で頷く。こんなに取り乱すほど大変なことなのだ、許されるのなら僕も謝ろう。12時まで後5分。走っても間に合うはずがない。彼女の肩をしっかりと抱き、僕は歩き出した。が、彼女の震えは止まらない。むしろ酷くなっていく。そして……
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