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「ぎゃーっ!」
僕の手が振りほどかれる。そして彼女は奇声を上げながら闇に消えて行った…。僕は腕時計を見る…12時1分
「追わないと…!?」
僕は走りだそうとしたとき。そこに落ちている何かに気付いた…
「これは……っ!?」
そう、そこにあったのは、間違いなく手。しかも肘から先だけ。主人を失った手が落ちているのだ!
「まさか…彼女の?」
いや、そんなことはない!僕は必死にこれはマネキンだと信じ彼女を追いかける!
足だ!次は足が落ちてる!マネキンだと信じていても、何故か涙が込み上げる!
「無事で!どうにか無事で!」
僕は祈るだけでは物足りず、声を出して叫ぶ。そして、遂に見てしまったのだ!
「あっ…ああぁ!」
もう声が出なかった。彼女は無惨な姿で…もう彼女かどうかも解らなかったが解る。僕の足元には、彼女の首…さっきまで一緒にいた彼女の首。そして目の前には彼女の首、腕、足を無くした体。もう何が何だか解らなかった。むしろ笑いが込み上げてきた。
「ははっ…なんだよこれ…ありえないだろ?夢だ、これは夢だぁっ!」
「ふふふ…夢だったらいいね…」
後から声がする。俺はゆっくり振り返る。しかし、暗いせいか顔は見えない。
「彼女はゲームに負けた…君は気付けなかった。彼女のメッセージに」
「メッセージ?」
「落とし物だよ?」
「落とし物?」
「あぁ、シンデレラの落とし物から、メッセージを汲み取らなければいけなかった。残念だ。12時を過ぎたシンデレラはみっともない姿を王子様に見せなければならなかった…」
「……俺はどうすれば」
「死ぬんだ…もうゲームオーバー」
何かが風を切り。僕の首筋に冷たいものが走る。そして目の前が暗くなる。
落とし物…彼女が一回目に落とした物はブレス。二回目はソックス。三回目はネックレス。最後にハンカチ。
「ハンカチに書いてあったはずだよ?助けてってハハハ!あーはっはっは!」
誰かの笑い声を聞きながら僕の意識は消えて行った。
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