『最強』から『最弱』に

2/9
79969人が本棚に入れています
本棚に追加
/479ページ
  「ハァ、ハァ……。」     暗闇の中を俺は必死に走ってる。  いや、実際には逃げている。   何から逃げているのかというと、『血』から逃げている。   追いかけて来るんだ。   戦争が終わった後に見た、あの血の水溜まりが、どんどん広がっていって、赤い色をした海のようになったんだ。   そしたらいきなりその波が俺に向かって来た。   まるで津波のように、大きく、高く、なだれ込む。    逃げても逃げても、差は縮まらない。   魔術を使っても全く効かない。       どのくらい走ったんだろう。   疲れが出てきて、俺のスピードがだんだん落ちていく。     それをチャンスだと言わんばかりに血が俺に襲い掛かる。       「うわァァアァ!!!」     俺は恐ろしいあまり、叫び声をあげる。       「ノエルッ!!!」       その時、誰かが俺を名を呼んだ。
/479ページ

最初のコメントを投稿しよう!