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「ハァ、ハァ……。」
暗闇の中を俺は必死に走ってる。
いや、実際には逃げている。
何から逃げているのかというと、『血』から逃げている。
追いかけて来るんだ。
戦争が終わった後に見た、あの血の水溜まりが、どんどん広がっていって、赤い色をした海のようになったんだ。
そしたらいきなりその波が俺に向かって来た。
まるで津波のように、大きく、高く、なだれ込む。
逃げても逃げても、差は縮まらない。
魔術を使っても全く効かない。
どのくらい走ったんだろう。
疲れが出てきて、俺のスピードがだんだん落ちていく。
それをチャンスだと言わんばかりに血が俺に襲い掛かる。
「うわァァアァ!!!」
俺は恐ろしいあまり、叫び声をあげる。
「ノエルッ!!!」
その時、誰かが俺を名を呼んだ。
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