『最強』から『最弱』に

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  「さっきも言った通り、家は新しいのを買っ「いい。」     俺は、人は怒りの頂点を越えると冷静になるのか、と呑気なことを考えながらハワードの言葉を遮った。     「は?」     「買わなくていいって言ってんだよ。」     「じゃあ、お前はこれからどうやって生活するんだ?」     俺が冷静になったからだろうか。俺達の意味もない怒鳴りあいはいつの間にか終わっていた。 「てめーに世話にならねぇ。っつってんだよ。こっちにだって、任務で稼いだ金がある。」    「じゃあ勝手にしろ。」     「あぁ、勝手にするよ。お望み通りこんなところ出てってやるよ。」     「出ていくならそのコート、二つ名、称号を返してもらおうか。」     「こんなもんいくらでもあずけてやる。」       やはり悔しい気持ちはあるため、俺は乱暴にコートを机の上にたたき付け、総隊長室から出ようとドアに向かった。     「世話になっ「最後に」     何も言わずに出て行くのも後味が悪いため『世話になったな』って言おうとしたらハワードに遮られた。   「なんだよ。」     俺はハワードを睨みつけながら振り向いた。 「最後に言う。血は、俺達が、ノエルが守りたいと思ったものを守り通したという証だ。 つまり、血はな、ノエルの、俺達の………勲章なんだよ。」       ハワードが何か訴えるような目をして話した。 「知るかよ、そんなこと。」     「ノエル、お前に守りたいものってあるか?」     ハワードが真剣な眼差しで聞いてくる。     「守りたいもの……? ………無ぇよ。そんなの。」     ハワードの質問について考えるが、守りたいものなんてこれまで考えたことがなかったし、戦うことが当たり前だと思っていたから守りたいものなど無かった。       「そうか……。守りたいものがお前にできれば、この言葉の意味がわかるさ。」       『守りたいもの』 それは、俺に持っていないものであって、1番理解出来ない言葉でもあった。     「今までありがとな。」     俺はハワードだけではなく、POWに所属している全員に言うつもりで言った。   そして、俺は、総隊長室から………いや、POWから出て行った。
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