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「総隊長。お言葉ですがノエル君をPOWから追い出さなくても……。」
ノエルが出て行ってしばらくしてから、遠慮気味にエリアが口を開いた。
「じゃあ、エリアは今のノエルに死ねっていうのか。」
「そんなことは言ってま「確かに」
エリアが否定すると同時に、またハワードが口を開く。
「確かにそういうことは一言も言ってないかもしれないが、今のノエルは新米にも熟せる(コナセル)簡単な任務を任せても死ぬかもしれないんだぞ。」
「…………?」
少し首を傾げるエリアは、ハワードの言っている意味がわからないようだ。
「血が怖いと言っている以上、あいつは戦うことができないんだ。
それでもエリアは、ノエルに任務を任せることができるのか?」
「総隊長………。」
エリアが呟いたのも無理はない。
悔しそうな表情をしているハワードの目から涙がこぼれていたのだから。
「大丈夫だ。ノエルは必ず戻ってくる。何たって、このコートを置く時に『あずけてやるよ』って言ったんだ。」
ハワードは、黒いラインが入った白いコートに向かって、優しく微笑んだ。
「『あずける』っていうことは、あいつはまたPOWに戻ってくるということだ。絶対にな。ノエルはそういう奴だ。だから、俺はあいつが戻ってくることを信じてる。」
ハワードは窓から差し込む光を見つめて、空を仰いだ。
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