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「くそっ。何で第一次の時よりもこんなに強くなってんだよ。」
隊員が唇を噛み締め、悔しそうに言う。
体は血だらけ。
ひざまずく隊員は、立ち上がる力も無さそうだ。
「言いたいことはそれだけか?
………死ね。」
そんな隊員を見下しながら、魔物は冷たく言い放ち、隊員に向かって、自慢の大きな鋭い爪を振り下ろす。
「…………っ!」
隊員は思わず息を止め、目をつぶる。
隊員がもう少しで殺されかける瞬間------伝説が始まった。
キィン、と耳を塞ぎたくなるような高音が隊員の耳に鳴り響く。
魔物の爪に何かが対峙したのだ。
それは、刀だった。
真っ黒な刀。
そして、その刀の所有者は、
「あんた、何してるの?」
魔物に向かって笑顔で言葉を発する少年。
「貴様、誰だっ!?」
予想外の出来事に、動揺を隠せない魔物。
「ん?俺はノエル・スナック。
あっ、今から死ぬ人に言っても無駄か。
つか、人じゃなかったね。」
ノエルは気味悪く、笑顔を絶やさずニコニコしている。
「ここは戦場なんだ。
餓鬼が来る場所じゃねぇぞ?
さっさと消えなかったら殺す。」
「魔物の言う通りだ坊主!
危ないから下がってろ!」
隊員も魔物の言うことに賛同する。
「危ない?さっきまで危険な目にあわされていたのはあんただったじゃん。」
ノエルは、魔物の言葉を無視して隊員に話す。
だが、そこで笑顔が消えた。
「それは………。」
隊員が言葉に詰まる。
それは本当のことだから。
ほんの十数秒前に殺されそうになっていたから。
「大丈夫。すぐ終わらせる。」
声を低くし、口調も変わったノエルは真剣な眼差しで魔物を見る。
「餓鬼が、邪魔しやがって。
死ねぇえぇ!」
痺れを切らした魔物がノエルに襲い掛かる。
「遅い。」
ノエルは一言言うと、刀を鞘に納める。
そして、それと同時に魔物の首が飛んだ。
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