神の右腕

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  「え………。」     隊員は一瞬の出来事だったため、何が起きたのか理解出来ていない。 魔物がノエルに襲い掛かったのに、その魔物が目の前で倒れているのだ。       「遅ぇよノエル。」     誰かがノエルに話しかけた。     「総隊長!」     隊員が見つけ、総隊長と言われた人物は、全身に白いコートを羽織った男性だった。 コートには金のラインが入っている。 それは、POWの総隊長であるという証だ。     「ハワードか。わりぃ。」     まだ12歳であるのに、総隊長に向かってタメで話している。 ノエルは怖いもの知らずなのか……。     「早くしろ。今、こっちが劣勢なんだよ。負けるぞ。」     「はいよ。」     「それからコート着ろ。」     今のノエルの格好は、普通に小学生がするような半ズボンにTシャツだ。 そのため、POWにいる者には到底見えない。       「アレ、大きすぎてぶかぶかだから嫌だ。」     「つべこべ言うな。サイズがでかいのは、お前がチビすぎるからだろ。」     「しょうがないじゃん。 今、俺12歳なんだし。12歳でメンズ用のコート着れたら逆にすごいでしょ。」     そう。POWにいる者はコートを着る。 全身がすっぽりと隠れるロングコートを。   しかし、サイズはメンズ用とレディース用しか揃えていない。 まさかPOWに子供が入るとは思わなかったからだ。   ちなみに、隊員は黒いコート、隊長は白いコートだ。     「いいから、着ろ。」     ハワードは殺気を交えながら言葉を発する。     「わかったよ。 ………そんなに殺気を出さなくても。」     ノエルが最後の方をハワードに聞こえないようにボソっという。     「なんか言ったか?」     「いっ、言ってない。」     さらに殺気を交えながら言うハワードに少し息詰まりながらも返答するノエル。       ハワードに逆らうことは出来ず、ノエルはコートを着る。 その色は、白だった。 そして、そのコートにあるラインの色は黒だった。 このコートが意味するノエルの地位は、『POW1番隊隊長』だった。
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