- 手紙 -

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「卒業証書、授与」 次々と校長先生から卒業証書が手渡されて行く光景を眺め、これで本当に卒業なんだと改めて実感する。 明日からはもう別々の道を歩むんだ。   私は卒業式の最中ずっと上の空だった。   長かった様な、短かった様な6年間。   同じ学年の子供はたった15人しかいない小さな小さな小学校。   その中で出会えたかけがえのない仲間達。   学校帰りに寄り道したあの丘。   丘から眺める広い海。   浜辺で寝転んで見上げた青空とオレンジ色に輝いた夕日。   山も木も花も鳥も全てが私達の友達。   そして、この大好きな街から大好きな人が旅立って行く。   走馬灯の様に駆け巡る思い出を噛みしめていると…ふいに私の目からは涙が溢れた。   それは私だけでなく、みっちゃんや駿や光治…そして和輝の目にも涙が溢れていた。
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