5人が本棚に入れています
本棚に追加
卯月があげはといいあっていると遠く後ろのほうでその様子を眺めてる男がいる。
(視線が痛いほど感じる…)
振り返るとすぐ後ろに卯月より少し背の高い黒髪の男が頬を少し染めながら卯月の頬を両手で覆うように掴み顔を近づけてきた。
「うわぁぁぁ、やめろ空須(からす)」
空須と呼ばれた男は、ちぇっと軽く舌をならし卯月を抱きしめる。
ぎゅうぅぅという音が聞こえそうだ。
こいつは黒崎空須(くろさきからす)
あげはの双子の兄でやたら俺に手をだしてくる変態。気に入られているようだがスキンシップが激しいから身がもたん。
「ぐ…くる…しぃ…骨が軋む……」
卯月は天の声が聞こえたような気がした。
「いけね。絞めすぎた」
やっと介抱されたときには白目を向きかけてた。
「くっ…このばかぢからがっ」
空須にくいかかっていこうとしたそのとき、
(手錠忘れてたぁ~)
かちゃかちゃ音をたてたこぶしが空須に届くことはなく、始業ベルが鳴り響く。
急ぎ足で講義室へと向かう三人。
足音のこだまを廊下に響かせて
最初のコメントを投稿しよう!