死と友人

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「それじゃ……次行きますか」 「次?」 「春木に、最後がどうゆうストーリーだったのか説明しに行くの」 そう言うと水無は席を立ち上がりさっさと出口と書かれた緑色に光る蛍光灯に向かった。 2012年6月24日、連続腹部ミンチ殺人事件の最初の犠牲者に七原春木の名が刻まれた。 結局三人で見に行った映画の後に、トイレに行くと良いそのまま行方不明になり3日後路地裏で腹部がまるでソーセージ工場の屑籠のような状態で発見されたらしい。 死体の無い葬式に参加した、死体の状態があまりにも酷い為に葬式の場には出せなかったらしい。 命日とゆう訳ではないが、映画を楽しみにしてたアイツの事だ……墓前にストーリー教えとく事が何よりの供え物になるだろう。 コッテリアでファーストフードを適当に軽く腹ごしらえした後にバイクに乗ってやや遠いアイツの墓場に向かった。 無人の小さな神社が近くにあるやや山の中にある墓場、線香やその他はないが特に必要もないだろう。 「久しぶりね、春木」 「2年ぶりって奴だな……どうだ?向こう側は」 春木の墓場の前に立ち一応声を出してみたが春木自身は見えない、成仏したのかここにいないだけなのかは分からないが少なくとも成仏した事を祈っておく。 取り敢えず軽く手を合わせた後墓場から一端離れる事にした。 『いないね、春木君』 「お前と違って潔く成仏したんじゃねえのか?」 石で出来た長椅子に座りやや暗くなってきた周囲を見てフッとため息をついた。 『でも、ミンチ殺人の犯人捕まってないんでしょ?私なら意地でも成仏だけは……』 「お前は例外だが、どんな奴でも消える時は消えるだろ……怨みも悲しみも思い出も一緒にな」 どんな奴でも消える時は消える、今まで見て来て間違いのない事実だ。
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