視界と幽霊

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「仕方ないじゃねッスか、それに地毛だって何度説明したら……」 「あ~分かった分かった、黙れ柳」 鬱陶しそうに手を目の前に振りながらセンセは教壇に戻って行った。 しかし自ら地毛と語っても初対面が俺の髪を見て何人中何人が地毛と信じるだろうか。 恐らく百人中三~七人、まあ誰か信じてくれそうな純粋君はいるだろ。 左目から右の後頭部までまるで白ペンキをかけられたように真っ白に染まった髪の毛。 取り敢えず一言で片すと行きすぎたメッシュと言えるだろうか。 そしてそのせいかこれまたヤンワリと生徒教師問わず不良扱いされる事が多い。 生まれつきの目付き悪さか……或いは2メートル近い身長か。 中学時代の友人いわくお前は何時も何かを睨んでいるようで恐ろしいらしい。 目を合わせても避けられるのはある意味必然的、森羅万象による自然摂理とまで言われてしまった。 まったく笑い話しにしても出来が悪い、俺の目付きは森羅万象なのかよ、言っちゃ悪いが俺より怖い奴なんて沢山いる。 (……例えば) 教室の片隅、窓際一番後ろの誰も座ってない席に視線を向けた。 黒色のブレザーを着込んだ首吊り死体が窓から入る風に揺られている、もうすぐ暑くなるのに未だにブレザーとは大変だ。 木村一子、三年前に教室で首吊り自殺をした女生徒で未だに成仏出来ていない。 本人曰く紐がとれなくて成仏出来ずに困っているらしい、つい最近苦笑いで話してもらった。 廊下側の窓を見ていると……あ、また飛び降りた。 8年前に受験ノイローゼで自殺した男子生徒だ。 何度も何度も飛び降りる理由は風が涼やかで楽しいかららしい、8年もやってればいい加減飽きると思うのだが本人飽きるとゆう単語を知らないようだ。
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