視界と幽霊

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それ依然の試みとして動物霊とくっついたり(耳が狐になったやら尻尾が生えたやらやたら騒いでいた、そして未だに治らないとゆうアホ臭い体たらく)。 敢えてわざと足を無くしてみたり(怖さがアップしただけだった、何とか治したが疲れただけらしい)。 自然何とか法とかヨガとかいろいろやっていたが何れもこれも失敗、取り敢えず俺に憑いて存在を依存させているのが今のところ一番良いらしい。 そしてその代償として俺はある事をしてもらっている。 『三番の読みは「よくせい」みたいだねぇ~』 『あ~、そこ-3π』 『石油輸出機構の略称はOPECで、それに加盟してないのはエジプトとロシアねぇ』 そう、要するに分からない答えを提供してくれるように頼んでいるのだ。 これのお陰で成績は良い感じにうなぎ登り、それにノートにプリント確り提出しているので髪の毛が不味くても染めろと忠告して来る教員は殆んどいない。 要するに持ちつ持たれずの関係、幽霊の癖に勉強好きってどうよ。 「はい、終了だ~プリント集めるぞ~」 やれやれと軽く伸びると周りから重いため息が聞こえた。 最後のテストは英語だったので彼処がどう間違っただの何処がどう失敗しただのそんな話題が教室を飛び交っていた。 『いや~終わった終わった、答え教える役も疲れるねぇ』 ん~と体を思い切り反らすあやめを尻目に零はさっさと教室を後にした。 わざわざ居残る用事も無いし何より自分とは無縁過ぎる雰囲気が教室中に蔓延している。 友人はいない訳では無いが基本孤独扱いを退ける為のカモフラージュ的存在に近い。 昔はそうでは無かったが、基本自分は孤独を苦にならない方の人種に位置付けされるだろう。 まあ実際後ろに喧しいのがいるので100%孤独にはなりえないのだろうが。
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