視界と幽霊

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そしてもう一人いる、喧しいのとは対象的な奴が。 前の教室の出口から出るとそれと同時に後ろの出口から彼女が出てきた。 さっさと教室から出る理由は俺と同じ、中学時代からの付き合いなのでそれに間違いはない。 村上水無、茶色の髪をあやめとは違うポニーテール風に纏めた髪と一般的に綺麗に入ると思われる顔。 「どうだった?テスト」 「……ボチボチだ」 カバンを担ぎ直し、それだけ言ってから階段に向かった、水無もそれに続く。 『たまには手くらい握ったらど~なのぉ?ほんと下心ないとゆうか何と言うか……』 外野が喧しいが別に彼女とはそんな仲ではない、朝の登校時間が重なるのと帰りちょっとばかし会話する仲でどうしてそんな事が出来ようものか。 「相変わらず暇してるでしょ、こうゆう午前中しか授業の無い日は」 生徒玄関ではまだ下校の生徒はまばらだ、彼女のやや小さな声でもよく響く。 「まあな、特にバイトしてる訳でもないし……強いて言うなら単車弄るくらいだ」 「やっぱりね、あんた何だからそんな事だろうと思った」 水無は何が可笑しいのかクスリと微笑み、そして何故か安堵したような顔になった。 「零の字、それなら今日も暇だよね」 「そうなるな……」 「なら話があるの……今日の2時位に学校の教室に来てくれない?……ほら、どうせ家近いじゃん」 「珍しいな、呼び出しなんて中学時代以来か……何かあったのか?」 「馬鹿者、そうゆうのを今ここで言えないから教室に呼び出しかけたの」 軽く尻を蹴られた後水無は数歩歩いて振り向いた。 「送れたら承知しないから、よろしく」 「お前が言うと冗談に聞こえん」 その皮肉には彼女は答えずさっさと自転車に乗って走り去ってしまった。
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