死と友人

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昼飯として作り置きをしていた冷めたお握りを口に突っ込み柳零はボケッとテレビを見ていた。 適当にチャンネルを回していたが、一番最後につけたチャンネルが占いだったので零はテレビの電源を消し枕にリモコンを投げる。 (……1時48分か) 携帯の時計を見て軽く準備に取りかかる事にする、と言ってもまあポケットに財布とバイクの鍵を突っ込む程度だが。 しかし珍しい事もあるもんだ、アイツから誘うなんて何時以来だろう。 昔は家に行ったり来たりの関係だったが中学に上がったくらいからそれは疎らになり最近はめっきり無くなった。 向こうも年頃だ、自分の部屋にそうバンバンとお前みたいなのを入れたくはないんだろ……と、中学時代の友人に指摘されたが真相は謎だ。 最も遊ばなくなった、喋らなくなったで消える友情等本当の友情ではないのだろうかと思うのだが。 そんな事を考えながら零は家の鍵をかけ外に出た。 やや小高い丘の上にある零の家はちょっとばかし裕福ともいえる。 しかし昔は高校の更に向こう側にある中学にチャリ通するにはあまり適した立地とは言えなかった。 要するに行きは楽だが帰りはキツい、坂道の自転車程役に立たない物はないのではないだろうか。 バイクはかなり重宝する、だから整備も手を抜けない相棒だ。 『時間無いよ~、あと8分』 肩からヒョイと抜け出るように近藤あやめが飛び出した。 憑りつくとゆうのは背後にピッタリとくっつく事ではない、肉体を共有して精神力を分けてもらう事にある。 最も普通の人間では憑りつく事すらままならないが見える・触れる・話せるの三拍子揃った俺にはかなり簡単に憑依出来るらしい、そして追い出す事もまたしかり。 「どうせ今からバイクで行けば7分以内につく」 『時間にルーズな男は嫌われるよぉ~、デートの基本なのにぃ…あ、それと今日の分ご馳走さまぁ』 徐々にあやめは自分の再構築を始めた、零が触れるまでに体を戻すと肩にのし掛かる。
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