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ミズキが振り返って見てみると、そこには1人の学生がたっていた。
(…何このチャラチャラしてる感じ。絶対無理!)
そう心の中で思っていたミズキの声が相手に伝わったのか、『あ~今こいつ何って思ったでしょ~俺は裕貴。文学部二年映画研究部去年作ったんだけどさ~なかなか部員増えなくて…まぁ対した活動はしてないんだけどね~君映画好きかなと思ってさ』
『…いえ私は結構です』
『え~そんな事言わないでさ~ちょっと話聞いてよ』
『いえ、本当いいです』
『ねぇ~いいじゃん』
『しつこいなぁ映画なんて好きじゃないんです』
私はあまりのしつこさにきれてしまった。
『おい、裕貴嫌って言ってるんだから諦めろよ』
『あっ悠生、今頃きたのかよ。悠生も頼んでくれよ』
『嫌がってるだろ。それに他にも人はたくさんいるだろうが別にこの女じゃなくても…』
(この女!?)
ミズキはそう言った男の顔を見上げた。背が高く顔はいかにも王子様みたいに端正に整っている。だけど表情は無愛想ですごく感じが悪い。その表情を見てますます怒りがこみ上げてきた私。
『この女って私にはミズキって名前があるんです。なんなのよあんた!初めて逢った人にそんな風に言われたくないんですけど!』
『さっき桜並木のとこ歩いてたろ。大きな口開けて。あれあくびか?』
『…あっさっきすれ違ったのあなただったの!?ってあれはあくびじゃなくて深呼吸です』
なんて最低なやつ!『なんだ2人知り合いなんじゃ~ん』
『知り合いなんかじゃありません』
『だな。裕貴こんなやつ誘うのやめて他に探そう。行くぞ』
『えっ悠生~待てよーあっミズキちゃんごめんね。じゃあ』
2人は沢山の人ごみの中に消えていった。
『なんなのよ。ムカつくやつ』
これが私と悠生の二度目の再会だった。
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