ヒミツ…?

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僕は放課後になると、たいてい図書室に向かう。図書委員の仕事のためだ。 …ホントは、すぐに保健室に直行したい。ひなたさん…大好きな恋人に会いたい。 でも、保健委員でもない僕が頻繁に保健室を訪れるのは不自然だから、我慢している。 この関係は、絶対ヒミツ。 だから、迂闊な行動は取れない。 が。 「そーらーっ、会いたかったよー」 「……」 たまに保健室に行くと、ひなたさんはすぐさま抱きついてくる。 「青山先生、やめてください」 「何で?」 「僕はクッションでもなければぬいぐるみでもないからです」 「知ってるよーそんなの」 「…誰かに見られたらどーすんですか!免職ですよ免しょ…っ…!!」 あまつさえ、躊躇いなく僕の唇を奪う。 …僕は怒ってるのに!! 「空可愛いー」 「ひなたさん!ここは学校ですよ?!」 僕がわめくと、ひなたさんは急にしょぼんしてしまう。犬が耳を伏せるように… 「だって、最近空に触ってなかったから…」 「うっ…仕方ないでしょう…テストやら委員会やらで忙しかったんですから」 「…そりゃあそうだけどさ…もう我慢できないよ…」 「ひなたさん…っんぅ…」 先ほどより深い、オトナのキス。 頭がぼうっとしてくる。…身体が熱い。 どうしよう。 僕も止まらない… 「…んっ、ふ…」 「……っ、…」 ちゅ、と音を立てて唇が離れる。 「…ひなた、さんの、バカっ…」 「ごめん。…でも、空も欲しかったでしょ?」 「……」 欲しかったにきまってるじゃないか。 目で訴えると、彼はニッコリ笑って再び僕を抱きしめた。 この恋はヒミツ。行動は慎重に。 …でも、欲しいもんは欲しいんです。
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