ヤキモチ。

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ひなたさんは、ホントにカッコイイんです。 職業柄か優しくて、物腰もやわらかで優雅。 ぶっちゃけ、モテます。 「失礼しま…す…」 その日、保健室に行ってみると、何人か先客がいた。女子生徒で…正直、病人とか怪我人には見えない。 「ほらほら、君達はそろそろ下校しなさい」 「えーっもうちょっといいじゃんっ」 「そうだよ先生ーっ」 「ダメ。もう下校時刻近いし、患者さんも来たから」 そう言って、ひなたさんが僕に目配せしてくる。…僕を口実にする気か… 「ちょっと、頭痛薬をいただけますか?」 僕がいかにも「体調不良です」という顔をして歩み寄ると、女子生徒たちは仕方なさそうに席を立った。 「じゃあひなたちゃん、またねー」 「先生バイバーイ」 「はい、気をつけてねー」 …ドアが閉まった途端。ひなたさんはため息をついて立ち上がり、大きく伸びをした。 「…お疲れ様です」 「ほんっとに疲れた…」 再びため息。今度は特大の。 「彼女たち、何時からいたんですか?」 「放課後になってからずっと」 「そんなに?!」 「仕方なくずっと相手してたよ…」 ……ずるい。 僕はふて腐れながら近くの椅子に腰掛ける。 僕は遠慮して長い時間居座ることなんてそうないのに… 僕だってひなたさんと話したい。ひなたさんのそばにいたい。 しかも数人のうち一人は「ひなたちゃん」だなんて呼んで…!! 「…空くーん。眉間にシワ」 「へ?」 「何だかすっごく機嫌悪そうだったよ?」 言いながら、ひなたさんはクスクス笑っている。 「ヤキモチ、妬いてくれてる?」 「…そりゃあ妬きもしますよ…大好きな人と女の子が仲良くしてたら…っとわ!??」 いつの間にやらひなたさんは僕の背後にいて…後ろからギュッと僕の首元に腕を回してきた。 「ちょ、ひなっ…」 「大丈夫…俺はいつだって、空だけを思ってる。空だけが、俺の特別」 「…ひなたさん…」 耳元で囁かれた、その言葉の威力は大きい。みるみるうちに顔が熱くなっていく… 「あ、ありがとう、ございます…」 「ん、どういたしまして。…全く、そんなに赤くなっちゃって。ホントに可愛いなぁ空は!」 「うぎゅっ?!く、くるし…っ!!」 どうやら、浮気の心配はしなくてもよさそうです。
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