白い世界

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でもさすがに黙ったままだと、このまま置き去りにされかねないよね……。 とにかく何かを言わなくちゃ。 と、何を言おうか迷っていたが、あることに気がついた。 話すと言っても、日本語で話をしたって会話が成り立たないのは明確で。 ここはやっぱり世界で一番通じるとされている、英語で会話をしなければいけなさそう。 はっきり言って通じるかわからない。 何故なら、私の英語の発音はとても悪いから。 聞こえを良くするなら、Japanese-Englishとでも言うべきか。 はたまた文法力、単語力のなさが悪いと言うべきか。 なんせ英語という授業は高校に入ってから、まるっきりしてこなかった。 成績は真ん中の可――つまりは良くも悪くもないってやつ。 とにかく確実にネイティブの人に伝わらない自信だけは持っていた。 こういう日が来るとわかっていたら、英会話教室で発音だけでも直すことができたんだろうけど。 けど今更何を言おうが、この状況が変わるわけでもなく……。 とにかく当たって砕けるか! 私の頭はこういう結論に達した。 『Sorry,but……. I……can't speak and understand English very well』 中学レベルの簡単な文章で、英語が理解できないこと、喋れないことだけを、自分なりに必死に、目の前の彼に伝える。 単語力、文法力があれば今の私の危機的な状況も伝えられるんだけど……。 成績が“可”の私に、そんなことが望めるはずもない。 「……」 と、しばらく相手の返事を待ってみるが、一向に彼は何も喋らない。 というより、彼は驚いたような顔をしたまま固まっていた。 どうやら本当に当たって砕けたみたい……。 やっぱり発音がまずかったんだろうか? あまりの変な発音に固まっているに違いないんだ。 『はぁ……止めとけばよかった』 .
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